成婚した人の話を聞いていると、不思議と「運がよかった」という言葉が出てこない。代わりに出てくるのは、つまずいた話と、そこから何を変えたかという話ばかりだ。今回紹介する30代男性も例外じゃなかった。ペットの可否で3時間揉めたり、「料理しない主義」が後出しで発覚して破談になったり。きれいごとゼロで語ってくれたので、そのまま4ステップに並べてみる。(プライバシー配慮のため一部フェイクを含みます)
友情結婚とは?まず前提をそろえておく
「友情結婚」というのは、恋愛や性的な関係を前提にしない結婚のかたち。お互いの価値観やライフスタイル、将来の目標を共有しながら、人生の相棒として支え合っていく。経済的な安定、家族への説明のしやすさ、ひとりで歳を重ねる不安の回避。選ぶ理由は人それぞれだ。
友情結婚アプリ「MITRA(ミトラ)」には、こうしたいろんな背景を持つ人が登録していて、自分に合うパートナーシップの形を探している。基本のところは「友情結婚とは?メリット・デメリット・向いている人を徹底解説」にまとめてあるので、そもそも何それ?という段階の人はそっちを先に読んでほしい。恋愛とは別ルートの選択肢として、アセクシャル(他者に性的な惹かれを感じにくいセクシュアリティ)やLGBTQ+の人を中心に広がっている。
ここから先は、その「選択肢」を実際に走り切った人の現場メモだと思って読んでもらえばいい。
ステップ1:友情結婚で動く前に、自分の条件をハッキリさせる
彼の第一声がこれだった。
「何が欲しいか分からないと話が進まない。」
友情結婚は恋愛のドキドキで勢いよく進む、ということがない。だから最初に自分の欲しいものを言語化できていないと、相手と話してもふわっとしたまま終わる。彼の場合は共通の趣味(アニメと旅行)、生活リズムの相性、そしてお金の分担を透明にできるかどうか、この3つが核だった。
特に効いたのが生活リズムらしい。「相手が朝型で自分が夜型だと、想像以上にストレスだった」と振り返る。一緒に住むかどうかにもよるが、こういう地味な噛み合わせが日常をジワジワ削ってくるのは、あなどれない。結婚で何を叶えたいのか、どんな相手とどんな暮らしを送りたいのか。ここを具体化できるかどうかが、最初の分かれ道だ。
手を動かすなら、紙に書き出すのが一番早い。「結婚で何を叶えたいか」を箇条書きで出して、優先順位をつける。彼は金銭感覚の一致を最優先にしていて、「月10万で暮らしたい人と、20万必要な人は無理」と言い切っていた。ここがズレると、ほかが全部合っても続かないという読みだ。
ただし完璧主義は禁物。100%一致する相手なんていないので、7割合えば上出来くらいに割り切る。心地よく続けられる関係を狙うほうが、結果的にうまくいく。逆に、条件を詰めすぎて誰も当てはまらなくなる人もいる。そういうタイプは「こんな人は友情結婚しないほうがいい」も一度のぞいておくと、自分のクセに気づけるはずだ。
ステップ2:友情結婚の相手探しは「本音の対話」で見抜く
相手探しを進めるなかで、彼が一番効いたと言っていたのがこれ。
「最初からいいことばかり言う人より、率直に条件を話してくれる人のほうが長く続く。」
恋愛なら好印象を演出するのもアリかもしれないが、友情結婚は逆だ。条件を出してくれる相手のほうが、あとで揉めにくい。だから彼は、気まずいテーマほど早めにテーブルに乗せるようにしていた。
もちろん失敗もした。生活費の話を切り出したら「ケチ」と取られたり、ペットを飼うかどうかで3時間議論になったり。それでも彼は「相手の本質を見極める時間はケチらないほうがいい」と言う。気まずさを避けて条件を曖昧にすると、後で必ずズレが膨らむ。早い段階のすれ違いは、長期的なミスマッチを防ぐためのコストだと考えると割に切れる。
進め方は段階を踏むのがコツだった。1回目は軽めに相性確認、2回目で条件をしっかり、という具合に、会うたびに話す中身を深くしていく。オンラインのやり取りからカフェでの対面に移し、金銭感覚・生活リズム・ペット・将来設計を順に潰していったそうだ。お金、住まい選び、家事分担、家族対応、子どもの話。どれも気まずいが、後回しにするほど痛い。
ちなみに、そもそも相手から声がかからないという段階で止まっている人は、相性以前にプロフィールでつまずいていることが多い。書き方ひとつで反応はかなり変わるので、「友情結婚アプリで出会えない原因はプロフィール?」を先に直しておくと、対話の前段階がスムーズになる。
ステップ3:友情結婚の現実的なハードルに、書面で備える
理想だけでは越えられない壁もある。彼が引っかかったのは、家族への説明と、法的な縛りの曖昧さだった。
彼の場合、親には隠さず話したい派だった。とはいえ「友情結婚です」といきなり言っても伝わりにくい。そこで彼が取ったのは、最初から全部を説明しないやり方だ。「友達とシェアハウスするようなもの」とまず伝え、少しずつ背景を足していくことで、親の理解を引き出していった。家族への伝え方でつまずいている人は「友情結婚を親にどう伝える?」に具体的な切り出し方がまとまっている。
法的な不安のほうは、書面で潰した。財産分与や生活ルールを公正証書にしておいたのだ。公正証書というのは、公証人という公務員が作る公的な文書のこと。法務省の公証制度の案内でも、私的な法律関係を明確にして将来の紛争を防ぐための制度だと説明されている。彼の言葉を借りれば「後で揉めないための保険」だ。実際の作り方や費用は日本公証人連合会の公式サイトに載っているので、本気で検討するならまずそこを見ておけばいい。お金の取り決め全般は「友情結婚における家計管理のコツ」も合わせて読むと整理しやすい。
ここでも彼は手痛い失敗をしている。家事分担のルールを決めずに進めたら、後から相手に「料理しない主義」と言われて破談になった。この一件で学んだのが「曖昧なままにしないこと」。家事、生活費、ペット、居住エリアといった日常の決めごとは、口約束じゃなく明文化する。「分担表を作ったら話が一気に早くなった」とのことだ。
なお、子どもを希望するなら、この段階でスケジュールを逆算しておいたほうがいい。友情結婚は「いつでも始められる」と語られがちだが、登録から対面、入籍、その先まで進むと最短でも1〜2年はかかる。子どもを望むなら年齢が現実的な制約になるのは事実で、受け身でいる時間のコストは歳が上がるほど大きくなる。望むなら早めに動く、これは外せない。もちろん子どもを持たない選択も等しく尊重される話で、どちらが正解という話ではない。
ステップ4:友情結婚を長続きさせるコミュニケーション術
無事に一緒になってからの話。彼の表現がうまかった。
「恋愛がない分、会話が命。」
友情結婚は、恋愛的な情熱が関係をつないでくれるわけじゃない。代わりに日々のコミュニケーションが軸になる。彼自身、相手のストレスに気づけず「空気読めない奴」と言われたことがあって、言葉のキャッチボールの大事さを後から痛感したそうだ。
効いた習慣はシンプルで、月に1回「最近どう?」と話す時間を固定したこと。これだけで関係が目に見えて安定したという。結婚生活の健康診断みたいなもので、互いの状況を定期的に確認しておくと、すれ違いが小さいうちに気づける。彼はこうも言っていた。
「相手の愚痴を聞くのは修行だけど、信頼の第一歩。」
伝え方にもコツがある。一方的に指摘するのではなく、「こう感じたんだけど、どう思う?」と質問の形にする。不満をため込むと勝手に溝が深まるので、違和感は早めに、でも角を立てずに共有する。このあたりの具体的なやり取りは「友情結婚でうまくいくコミュニケーション術」に踏み込んだ例があるので、相棒との会話に悩み始めたら開いてみるといい。
日常の小さな積み重ねが信頼を育てる、というのは恋愛結婚でも同じだろうが、友情結婚では特にここがダイレクトに効いてくる。
友情結婚で彼が最後にたどり着いた結論
ひととおり経験して、彼が一番大事だと言ったのは意外な一言だった。
「条件ばかりにとらわれず、相手の人間性を見る余裕を持つこと。」
最初はあれだけ条件、条件と言っていた人が、最後にたどり着いたのがこれだ。論理や条件の一致はもちろん大切だが、一緒にいて安心できる感覚や相手の誠実さこそが、長く続く関係の土台になる。条件はマッチングの入口にすぎなくて、続けられるかどうかは別の筋肉が要る、ということなんだろう。パートナーの見極め方そのものについては「友情結婚で「この人なら大丈夫」と思えるパートナーの見極め方」に詳しい。
最後に彼が残した言葉を、そのまま置いておく。
「失敗しても次がある。話せば道は開ける。」
友情結婚は、ゴールテープを切る話じゃない。何度かつまずいて、そのたびに条件と向き合い直した先で、ようやく「ちゃんと話せる相手」と一緒になる。彼を見ているかぎり、遠回りに見えてそれが一番堅実なやり方なんだろうと思う。
友情結婚についてもっと知りたい方へ
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