MITRA運営チームによる実話ケーススタディ「それぞれの終わり始まり」シリーズ。
前回のケース1では、話し合い不足が原因で4ヶ月で離婚に至ったふたりの話を紹介しました。今回は、友情結婚を選び、7年目を迎えた今も良好な関係を続けているふたりの話です。
※プライバシー保護のため、一部の情報は変更しています。
「お互い、結婚しないと思ってた」
アキさん(仮名・30代・レズビアン)とケンさん(仮名・30代・ゲイ)が出会ったのは、共通の友人を介した飲み会でした。
アキさんは当時、女性のパートナーと交際していました。ケンさんにも男性の恋人がいました。ふたりとも恋愛結婚をするつもりはなかったけれど、職場や親戚の集まりで「結婚しないの?」と聞かれるたびに、なんとも言えない居心地の悪さを感じていたそうです。
「彼女がいる、とは言えないじゃないですか。ごまかすのもだんだん疲れてきて」とアキさん。ケンさんも「親が高齢になってきて、安心させたい気持ちもあった」と振り返ります。
友情結婚の話が出たのは、出会ってから半年ほど経った頃。最初は冗談半分だったそうですが、お互いの状況や考え方を話すうちに「これ、本気で考えてもいいかも」という空気になっていきました。
結婚の前に、まず「契約」を作った
ふたりが最初にしたのは、婚前契約書の作成でした。
「友情結婚って、恋愛結婚よりもルールが大事だと思ったんです」とケンさん。アキさんも「好きという感情で乗り切れない部分があるから、最初に全部決めておきたかった」と言います。
契約書にはかなり細かいことまで書いたそうです。生活費の負担割合、家事の分担、それぞれのプライベート空間の確保。中でも一番時間をかけたのが、パートナー以外の恋愛関係についてのルールでした。
ふたりが決めたのは「お互いの恋愛は自由。ただし、同居している自宅には連れてこない。相手の恋人について詮索しない。ただし、性感染症対策は各自で責任を持つ」ということ。ケース1のユウトさんとミキさんのように「言わなくてもわかる」で済ませなかったのが、大きな違いだったのかもしれません。
子どもを持たない、という選択
友情結婚で必ず出てくるのが、子どもの話。
ふたりは話し合った末に、子どもは持たないことに決めました。アキさんは「子育てに興味がないわけではなかったけど、自分たちの関係性を考えたときに、無理に持つ必要はないと思った」と話します。ケンさんも「子どもがいた方がいいのかな、と一瞬考えた。でも世間体のために子どもを持つのは違うよね、と」。
この決断も婚前契約書に明記しました。「あとから気が変わったらどうするか」まで想定して、もし片方が子どもを望むようになった場合は改めて話し合う、という条項も入れたそうです。
7年目のリアルな暮らし
結婚7年目の今、ふたりはどんな生活を送っているのか。
住居は2LDKのマンション。それぞれの個室があり、リビングとキッチンは共有。家賃や光熱費は折半で、食費はそれぞれ。「ルームシェアに近いかもしれない」とアキさんは笑います。「でも、ただのルームメイトとは違う安心感がある。法的に家族であることの安定感って、思っていた以上に大きかった」。
価値観の確認を結婚前にしっかりやったのが、やっぱり大きいとふたりは言います。生活の中で新しいルールが必要になったときも、「契約書を見直そう」と自然に話し合えるのだとか。
ケンさんの恋人も、アキさんの存在を知っています。「最初は複雑そうだったけど、今はアキに感謝してるみたい。ケンが安定してるから、って」。アキさんの恋人も同様で、ケンさんとは年に数回、一緒に食事をする間柄だそうです。
うまくいっている理由を聞いてみた
「なぜ7年もうまくいっていると思うか」と聞くと、ふたりの答えは一致していました。
「期待しすぎないこと」。
「恋愛結婚だと、相手に恋愛感情を求めるし、愛情表現も求める。でも友情結婚は最初からそれがない。だからこそ、相手に過度な期待をしない。感謝だけがある」とアキさん。ケンさんも「家に帰ったら話し相手がいる、体調が悪いときに気にかけてくれる人がいる。それだけで十分ありがたい」と頷きます。
もうひとつ、ふたりが大切にしているのが「定期的な振り返り」。年に一度、結婚記念日のあたりで契約書を見直し、今の生活に合っているか確認するそうです。「ビジネスのレビューみたいって言われるけど、むしろこの仕組みがあるから安心して暮らせている」とケンさんは言います。
おわりに
アキさんとケンさんは、最初から「完璧な関係」なんて目指していなかった。期待値を合わせ、ルールを文書化し、定期的に見直す。地味だけど、それが7年間の土台になっている。
ケース1のふたりは「話し合い不足」で4ヶ月で離婚した。ケース2のふたりは「話し合いすぎ」で7年続いている。結局、コミュニケーションに尽きるのかもしれません。
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