友情結婚を検討している人からよく聞くのが、「恋愛感情がなくても、本当にうまくいくんですか?」という質問だ。正直に答えると、うまくいく人もいれば、そうでない人もいる。恋愛結婚と同じように。
ただ、友情結婚で長く続いているカップルには、いくつかの共通点がある。MITRAを通じて出会ったカップルの話を交えながら、友情結婚での信頼関係の築き方について考えてみたい。
「好き」がないからこそ、言葉にする
恋愛結婚では、「好き」という感情がある程度のことをカバーしてくれる。多少の不満があっても「でも好きだから」で乗り越えられることがある。言わなくても通じ合える、という幻想を持てることもある。
友情結婚にはその「好き」がない。だからこそ、言葉にすることが大事になる。
MITRAで出会って3年になるYさんカップルは、「月1回の定例ミーティング」を続けているという。「ビジネスみたいでしょ」とYさんは笑う。「でも、これがあるから不満をため込まずに済んでいます。恋人同士だったら『そんな堅苦しいことしたくない』ってなるかもしれないけど、私たちはこれでいい」
議題は生活費の確認から、最近気になっていること、来月の予定まで様々。定期的に「話す場」を設けることが大切だという。
期待値のすり合わせを怠らない
友情結婚でトラブルになりやすいのが、「言わなくてもわかると思っていた」というパターンだ。同居のルール、家事の分担、休日の過ごし方。恋愛結婚でも揉める話題だが、友情結婚ではより明確にしておく必要がある。
Sさん(40代・男性)は、結婚後に相手との期待値のズレに気づいたという。「相手は『週末は一緒に過ごすもの』と思っていて、私は『それぞれ自由に過ごすもの』だと思っていました。どちらが正しいという話じゃない。ただ、すり合わせが足りなかった」
結婚前に話し合っておくべきことは山ほどある。同居か別居か、プライベートな時間の確保、お互いの友人関係の扱い方、お金の管理方法。面倒でも、一つひとつ確認しておくことで後々のトラブルを防げる。
「ルール」より「原則」を共有する
とはいえ、何でもかんでもルール化すればいいわけじゃない。細かいルールをたくさん作っても、想定外のことは必ず起きる。そのとき二人の間に共有された「原則」があるかどうかが問われる。
友情結婚5年目のNさんカップルが大切にしているのは、「困ったときはまず相談する」という原則。「細かいルールは状況によって変わるから、あまり決めすぎないようにしています。でも、何かあったら隠さずに相談する、というのだけは守っている。これがあるから、相手を信頼できる」
原則は二人で話し合って決めればいい。「嘘をつかない」「一方的に決めない」「相手の時間を尊重する」、どんな原則でも、二人が納得していれば大丈夫。
感謝を言葉にする習慣
長く一緒にいると、相手がしてくれることが「当たり前」になっていく。これは恋愛結婚でも友情結婚でも同じ。でも、友情結婚の場合、恋愛感情でカバーできない分、感謝を言葉にすることがより効いてくる。
「ありがとう」と言われて嫌な気持ちになる人はいない。ゴミ出しをしてくれた、食事を作ってくれた、話を聞いてくれた。小さなことでも言葉にする。これだけで関係の温度感が変わってくる。
MITRAのユーザーであるKさんは、毎日一つは相手に感謝を伝えるようにしているという。「最初は照れくさかったですけど、今は習慣になりました。相手も同じようにしてくれるので、なんか日々のストレスが減った気がします」
「一人の時間」を保障し合う
友情結婚のメリットの一つに、お互いの自由を尊重しやすいという点がある。恋愛結婚では嫉妬や独占欲が問題になることがあるが、友情結婚ではそうした感情が生まれにくい。
ただ、自由を尊重するとは言っても、放置とは違う。相手が一人の時間を必要としているときはそっとしておく。でも、一緒にいたいときはちゃんと一緒にいる。このバランスが大事だ。
同居しているMさんカップルは、それぞれの個室を持っている。「リビングは共有だけど、自分の部屋には勝手に入らないルールにしています。一緒に住んでいるけど、プライベートな空間がある。これがあるから、長く続けられている気がします」
困ったときこそ試される
どんな関係でも、調子がいいときは何とかなる。問題は、どちらかが困っているときにどう動けるか。病気になった、仕事を失った、メンタルが落ちた。そういうとき、パートナーが支えになってくれるかどうかで、信頼関係の深さがわかる。
友情結婚は契約的な側面があるから冷たい、と思われることがある。でも、実際に話を聞いてみると、困ったときに支え合っているカップルは多い。恋愛感情がなくても、「この人を大切にしたい」という気持ちは育つ。
Tさんがパートナーのことを信頼できると確信したのは、自分が体調を崩したときだったという。「一週間くらい寝込んでいたんですけど、食事を作ってくれたり、病院に付き添ってくれたり。『契約だから』じゃなくて、本当に心配してくれているのが伝わってきて。そのとき初めて、この人と結婚してよかったって思いました」
信頼は一日にしてならず
信頼関係は、一朝一夕で築けるものじゃない。毎日の小さな積み重ね。約束を守る、嘘をつかない、相手の話を聞く。特別なことじゃない。当たり前のことを、当たり前に続けること。
友情結婚だから特別な努力が必要、というわけじゃない。恋愛結婚でも友情結婚でも、長く続く関係に必要なことは同じ。コミュニケーションを取り続けること、相手を尊重すること、感謝を忘れないこと。
友情結婚は「恋愛がないから不安」と思われがちだけど、恋愛があっても続かない結婚はたくさんある。アセクシャルの方もLGBTQ+の方も、信頼をベースにしたパートナーシップを築いている人はたくさんいる。二人でどんな関係を築いていきたいか、そしてそのために何を続けていくか。それぞれのやり方で信頼関係を育てていけばいい。
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