友情結婚に興味を持った人がまず知りたいのは、たぶん「で、実際どうなの?」という一点だと思う。何人くらいが選んでいて、どんな人たちで、結婚したあとどんな毎日を送っているのか。理念やメリットの話はあちこちで読めるけれど、実態となると途端に情報が薄くなる。せっかくなので、いま手に入る数字と記録から、できる限り輪郭をつかんでみたい。
そもそも公式の統計が存在しない
最初にぶつかる壁がこれ。友情結婚は法律上の区分ではないので、「友情結婚をした夫婦が何組」という公式データは、どこを探しても出てこない。厚生労働省の人口動態統計には毎年の婚姻件数が載っているが、その中身が恋愛結婚なのか友情結婚なのかまでは区別されていない。婚姻届に「友情結婚」と書く欄なんて存在しないのだから、当然といえば当然だ。
だから正確な人数は誰にも分からない。ただ、それでも傾向を推し量る手がかりはいくつかある。
検索の伸びと相談の増加から見える広がり
ひとつは検索の動きだ。「友情結婚」という言葉で調べる人は年々増えていて、数年前まではごく一部の人が使う言葉だったのが、いまでは婚活の選択肢として語られるようになってきた。関連する相談サービスや専門の相談所も増えていて、需要があるからこそ受け皿が育っている、という流れが見てとれる。
取材記録も貴重な手がかりになる。集英社が運営するimidasでは、実際に友情結婚をした人へのインタビューが公開されていて、成婚者がどんな経緯で相手と出会い、どんな生活を送っているのかが具体的に語られている。数字では拾えない実態は、こういう一次情報のほうがよほど解像度が高い。
選んでいる人たちの傾向
集まっている声を眺めていると、選ぶ人の背景はかなり幅広い。よく語られるのは、アセクシャルやノンセクシャルといった、恋愛や性的な関係を必ずしも必要としない人たち。それからゲイやレズビアンで、家族という形は持ちたいと考える人たち。さらに最近は、恋愛にはもう疲れたけれど一人で生きるのも違う、という気持ちから関心を寄せる人も増えている印象がある。
年齢層も思ったより広い。20代後半から40代までが中心だけれど、もっと上の世代がパートナー探しに踏み出すこともめずらしくない。共通しているのは、恋愛の有無より「どんな暮らしを一緒に築けるか」を結婚相手の基準に置いている点だと思う。
暮らしの実態はかなり多様
結婚したあとの生活も、ひとつの型に収まらない。同じ家で暮らしていても、その中身はまるで違う。リビングでほとんどの時間を一緒に過ごす夫婦もいれば、食事だけ共にしてあとは個室で別々に動く夫婦もいる。お金の管理も、完全に分ける家もあれば共同の財布を持つ家もあって、本当に家庭ごとにバラバラだ。
子どもについても考え方はさまざまで、望む夫婦も望まない夫婦もいる。ここはひとつ補足しておきたいのだけど、子どもを希望する場合は年齢が現実的な制約になる。出会ってから入籍、その先の妊活まで考えると最短でも年単位で時間がかかるので、望むなら早めに動いたほうが選べる道は広い。
こうして並べてみると、友情結婚の実態は「これが標準」と言い切れるものがない。決まった正解がないぶん、自分たちで関係の形を設計できる。むしろ、データできれいに測れないことこそ、この結婚に型がない証拠なのかもな、なんて思ったりもする。
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