結婚したいけど、仕事も諦めたくない。この二つを並べた瞬間に「どっちか選べ」という空気になるのは、おかしな話だと思う。
特に女性だと「結婚=キャリアの中断」みたいなイメージが、いまだに職場に残っていたりする。でも共働き世帯はもう少数派じゃない。内閣府の男女共同参画局の統計でも、共働き世帯はこの数十年ずっと増え続けて、「夫が働き妻は家庭に」という型の世帯数をとっくに上回っている。現実のほうが先に変わっているのに、結婚の話になると古い型が顔を出す。
友情結婚、つまり恋愛感情を前提にせず、信頼と生活の段取りをベースに暮らす結婚は、この「両立」とは相性がいい。感情の勢いで進めるより、先に条件を話してから一緒になる。そういう順番で進めやすいからだ。
共働きで揉めるのは、家事の量より「誰がやるか曖昧なこと」
共働きの相談でよく出るのが、家事と仕事のバランスだ。ただ、話を聞いていくと、不満の中身は家事の量そのものじゃないことが多い。誰がどれをやるか決まっていなくて「気づいた人がやる」運用になっていて、その「気づく」役が片方に偏る。これが地味に効く。
恋愛結婚だと、この手の段取りは「好きだから自然になんとかなる」で後回しにされがちだ。でも自然にはならない。家事は誰かがやらない限り残り続けるし、放置すれば結局どちらかが拾う。
友情結婚の人は、ここを先に詰める傾向がある。恋愛のテンションがないぶん、「料理は私、皿洗いはそっち、掃除は週末に一緒に」と事務的に割り振ることへの抵抗が少ない。決めておくと、片方が激務の週でも「今週はこっちが多めに持つ」と調整しやすい。お金も同じで、生活費の分け方、貯金、収入をどこまで共有するか。このへんを早めに言葉にしておくと、後のすれ違いが減る(分け方の選択肢は友情結婚のお金の管理に)。
転勤・単身赴任という、いちばんの難所
両立でいちばんやっかいなのは転勤だ。片方に辞令が出たとき、もう片方が仕事を止めてついていくのか、別々に暮らすのか。これは恋愛結婚でも友情結婚でも避けられないし、ここで消耗するカップルは多い。
友情結婚がやりやすいのは、この問いを「もしも」の段階で出せることだ。「転勤になったらどうする?」を交際の初期、なんなら入籍前に話せる。恋愛結婚だと「縁起でもない話を今しなくても」と流れがちなテーマを、普通の議題として扱える。
選択肢はいくつかある。どちらかが必ずついていくと決めておく手もあれば、お互いの仕事を優先して別々の街で暮らし、週末や連休に合流するカップルもいる。後者なら、住まいを最初から二拠点前提で組んでおくと無理がない(同居・別居・週末婚の比較は友情結婚の住居選びに書いた)。「一緒に住むのが当たり前」を外せると、転勤は致命傷というより、ただの調整事になる。
友情結婚したAさんの話(一部、本人が特定されないよう変えている)
MITRAで出会って友情結婚したAさん(30代・女性・IT企業勤務)は、こんなふうに話していた。
「前の恋人には『仕事ばかりで寂しい』と言われて別れたんです。でも今のパートナーは、私が深夜まで働いていても何も言わない。『今日も遅くまでお疲れさま』って。最初から『お互いの仕事を尊重する』って約束していたから、罪悪感なく仕事に集中できるんですよね」
パートナーも同じくキャリア志向で、干渉しすぎない関係を望んでいたそうだ。二人は入籍前に、繁忙期の家事の持ち方、転勤が出たときの身の振り方、そして「片方が体調を崩したら仕事より相手を優先する」という例外まで決めていた。普段ドライに分担しているからこそ、いざというときの順番を先に握っておく。
友情結婚がキャリアと噛み合う理由
個別の悩みの根っこには、共通の理由がある。
ひとつは、感情に振り回されにくいこと。恋愛感情がベースだと、相手の機嫌や関係の波が仕事に直結する。プレゼン前夜に痴話喧嘩で消耗、みたいなことが起きにくい。
それから、条件をすり合わせるのが前提になっていること。「残業が多い時期の家事」「親の介護が始まったら」みたいな重い話を、最初から議題にできる。後で揉めるより、先に合意しておくほうが楽だ。
あとは、相手の成長を素直に応援できること。パートナーが昇進したり新しい挑戦をしたとき、嫉妬じゃなく「いいね、やりなよ」と言える。相手の成功が自分の脅威にならない関係は、長く働くうえでけっこう効く(このへんの回し方は友情結婚のコミュニケーション術に)。
子どもを望むなら、時間も計算に入れる
両立を考えるとき、子どもを持つかどうかは避けて通れない。持たない選択ももちろんある。ただ、望むなら年齢が物理的な制約になるのは事実だ。
友情結婚は、アプリ登録からマッチング、対面、交際、入籍まで、順調でも最短で半年〜1年かかる。そこから妊活となると、さらに積み上がる。「いつでも始められる」と先送りしている間に、選べる範囲は静かに狭まる。望むなら、スケジュールを逆算して早めに動くほうが現実的だ。キャリアのピークとどう重ねるかも含めて、考えておきたい。
「結婚したら仕事を辞める」を、前提から外す
親世代や地域によっては、「女性は結婚したら家庭に入る」という価値観がまだ残っていたりする。この手の偏見への対処は、友情結婚を選ぶうえで避けにくいテーマかもしれない。
ただ、制度のほうはとっくに共働き前提で動いている。厚生労働省のイクメンプロジェクトのように、男性の育児参加や夫婦での両立を後押しする公的な取り組みもある。「片方が稼ぎ、片方が家庭」は、もう標準ではない。古い型に自分の人生を合わせる理由は、あまりない。
友情結婚を選ぶ人は、その古い型をいったん脇に置いて、自分に合うやり方を組み直そうとしていることが多い。パートナーも同じ前提に立っているから、結婚を「キャリアの終わり」ではなく「次の段階の始まり」として扱える。サービスを使って相手を探すなら、プライバシーポリシーや本人確認の体制が整っているかは見ておきたい。仕事と結婚を二択にして片方を諦める、そのルール自体、そろそろ書き換えていい。
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